竹田恵子ホームページ

「竹田恵子 ドイツ歌曲(林光訳による)をうたう」CD絶賛発売中!!

 

■林光さんのことば

 

「訳詩の成否の50パーセントは、すでにある旋律と歌詞を一致させるために、どのようなニホン語の語彙をえらぶかにかかっていて、それはまさに作曲家のしごとの領域にほかならない。35年におよぶオペラ作曲家としての経験がなかったら、このようなしごとに手をつけることなど思いつかなかっただろう」

 

「しろうとが伴奏なしで口ずさんで楽しめる。それがドイツ語歌曲の魅力だ。ところで、これらのドイツ歌曲を味わうには、原語をつうじなければ絶対に不可能だと考える音楽の先生は多い。それが理想であるにはちがいないが、しかし、ドイツ語抜きでも、これらの音楽と私たちは友だちになれる、それくらいのちからを、これらの音楽はもっている。その不思議を分かちあいたいと試みた作業がここにある。この仕事をとおして敬愛する巨匠たちの音楽が、<あなたのすきとおったほんとうのたべものになる>ことができますように」

 

 

「音楽現代5月号」 岸純信 評

 

林光の訳詞がメロディによく乗って、新種の美感を呈する1枚。
歌い手竹田恵子はかなりのヴェテランのようで、硬めの響きが声に交じる瞬間も多いが、声音そのものに少女性が備わっているので、曲調と相性良ければ若々しい仕上がりになることが多い。中ではシューベルト<魔王>での声色造りの工夫やフレージングの大胆な歌い分けが非常に面白く、井口真由子の煌めくタッチ(特にシューベルトの<水の上でうたう>での流麗さに賛辞を)のもと、どの曲にも竹田の個性的な解釈と、伝わりの佳い日本語歌唱が楽しめる。また、シューマン<ぼくの涙>や<ぼくの胸の傷を>では竹田が一瞬のフレーズに中低音域の爽やかさを添えるのが面白い。

 

 

「eぶらあぼ 2024.6月号」 柴田克彦 評

 

林光の訳詞によるドイツ歌曲集。オペラシアターこんにゃく座で、長年彼と活動を共にしてきた竹田恵子の歌と井口真由子のピアノ。訳詞だから当然原語とは違うが、数多くのオペラや声楽曲を手掛けている林らしく、日本語がごく自然に、旋律とよく馴染む。竹田は林の意図を巧く掬い取る。例えばシューベルトの〈魔王〉は、父、子、魔王の歌い分けの言葉と歌がぴったりで、原曲さながらの迫力で迫ってくる。〈水の上でうたう〉も自在な詞と歌。ピアノもきれい。〈小川の子守歌〉で“眠れ安らかに”の語りかけは、やがて静かな祈りとなる。〈春の夢〉の夢と現実の間の世界の激変。それでも夢みたい。

更新履歴
page top