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■2023年2月29日のニュース

 

昨日はわが家で、年度末恒例の「ピアニストのみなさんとのお疲れさん会!」を開催しました。
みんなで食べ物とお酒を持ち込んでのおしゃべり三昧。「確定申告もうやったの?裏金問題、ほんとやってられないわよ!」から始まり、ピアノとうたとお芝居をめぐっての音楽談義。話題はさらに広がり、ほんとうに楽しい会となりました。
そして私がちょうど会の直前に勧められてYouTubeで観ていたアメリカ退役軍人による字幕付き動画。3日前にワシントンのイスラエル大使館前で起こった現役空軍兵士による抗議の焼身自殺。「フリー パレスチナ!」と数回叫んだそうです。それに対するイスラエルのガザ虐殺を容認してしまうアメリカ社会の反応に、激しい怒りをぶつけた動画でした。動画はいまアカウント停止されたらしく、拡散用にアップされたものをあらためてみんなで観ました。目を背けたくなる現実。若者たちの多くは立ち上がっているようですが、大統領選を控えてのアメリカ社会にはさらなる分断が待ち構えています。とても不安です。

 

 

 

 

■2023年12月20日のニュース

 

竹田恵子 ドイツ歌曲(林光/訳)をうたう」のCD先行発売日が決定しました!
 当初、12月〜1月発売の予定でお知らせしていましたが、第一編集がずれ込んだため、すでに予約をいただいている方には申し訳ありません。丁寧に制作しておりますので、ご期待ください。どうぞよろしくお願いいたします。

 

CD収録の曲目(計25曲)は以下の通りです。

 

 W.A.モーツァルト/作曲 
 ◎春へのあこがれ
 ◎すみれ

 

 F.シューベルト/作曲 
 ◎あれののばら  ◎ます
 ◎魔王 ◎糸をつむぐグレートヒェン ◎水の上でうたう
★歌曲集「美しき水車小屋の娘」より
 ◎たび ◎どこへ ◎あせり  ◎粉屋の花 ◎小川の子守唄
★歌曲集「冬の旅」より 
 ◎おやすみ  ◎春の夢
★歌曲集「白鳥の歌」より
 ◎恋の飛脚 ◎わかれ ◎君の姿絵  ◎都市(まち)

 

 R.シューマン/作曲
★歌曲集「詩人の恋」より
 ◎美しい五月 ◎ぼくの涙が ◎ばらも鳩も
 ◎きみの目を ◎ぼくの胸の傷を ◎ほくは夢で 
★「子供のための歌のアルバム」より
  ドイツの伝承童謡集「子供の不思議な角笛」から
 ◎てんとう虫 

 

 

 

 

 

 

■2023年12月20日のニュース

 

■トップページ変更のため、前の画像(写真)などはこちらに移動しました。

 

竹田恵子「ドイツ歌曲(林光/訳)をうたう」コンサートからYouTubeに7曲アップしました!

 

 

■「YouTube配信」に以下の曲目をアップしました。
 ぜひご覧ください。

 

♪たび
♪小川の子守唄
♪春の夢
♪美しい五月
♪ぼくの胸の傷を
♪てんとう虫
♪春へのあこがれ

 

■曲目解説については、「最新ニュース」(2023年7月1日付)掲載のプログラムノートをご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

■2023年11月13日のニュース

 

「こんにゃく体操とうたの会」のメンバーとして、遠く北九州市から「いま、うたたちの集い・Part18」にも参加してくれた佐藤翠ちゃんが、昨日地元でコンサートを開きました。
「特別協力」のお手伝いということで、当日ピアニストの平野義子さんとともに、はるばる北九州市まで出かけてきました。

 

 

第一部はソング集。メインとなる第二部は、安部公房の「プルートのわな」を原作に、佐藤信台本、林光作曲により軍事クーデターによって殺されたチリのアジェンデ大統領をモデルに、ギリシャ神話のオルフォイス伝説に重ねて構成された「舞台のためのカンタータ<鼠たちの伝説>―アジェンデ父娘に―」です。言ってみれば「佐藤翠 オペラひとりっ切り」の舞台でした。翠ちゃんの熱演にお客さんもとても集中し、多くの拍手をもらうことができました。
台本と作曲の見事さを、今回もつくづく感じました。ほんとうに作品が素晴らしい。もともとは1976年に放送用に書かれた合唱曲、その後章が追加され、1980年に序章が加わり完成形となりました。同年9月にそれをこんにゃく座が初演しています。2013年には「いま、うたたちの集い」でも取り上げ、翠ちゃんにとっては、2017年に「ラジオ番組とオルフォイスの決定」を歌って以来の継続した挑戦曲ともなりました。
ウクライナやガザの惨状を見るにつけ、この「プルートの罠」は、いまも私たちの心の中にたえまなく仕掛けられています。
誰がプルートの首に鈴をつけるのか。
私たちのひとりひとりが、いま問われているのだと思います。
翠ちゃん、お疲れさまでした!

 

 

 

 

■2023年10月31日のニュース

 

昨日「いま、うたたちの集い Part.18」を無事終えました!
お客さまの前で歌うことがどれほど大事か、毎回感じさせられます。とても楽しい一日となりました。姫田さんに撮っていただいた集合写真と、当日プログラムを貼っておきます。

 

 

とき:2023年10月30日(月) 15時開演(14時半開場)
会場:ティアラこうとう小ホール   入場料:無料 
当日録画・写真:姫田蘭  舞台監督:冬木理森
ちらしデザイン:織田和夫 
構成:竹田恵子
企画・制作:こんにゃく体操とうたの会 

 

ごあいさつ               竹田恵子

 

本日は、お出でいただきまことにありがとうございます。
今回の企画とその段取りは、昨年からの私事もあり、また私の活動も含めかなり過酷な状況にあったため、ずいぶん遅れてしまいました。だが、レッスン生の「歌いた〜い!」というエネルギーが、またもや私の背中を押してくれました。
いつもなら個々のうたいたい歌でプログラムが決まってくるのですが、今回は長いお付き合いの中から私の方で提案した曲目もかなり多くなりました。そのこともあり、これまではずっと「暗譜でうたう」ことを通してきたのですが(それは個々にかなりの緊張を強いることでとても良いライブ感を生み出すのですが)、今回は、個々が余裕をもって歌に込める気持ちを丁寧にみつめることができるよう、譜面台を置くことを良しとしました。
今回こうしてプログラムを眺めていると、とても多様で、個々の歌が自立しているため、大きな世界感のなかで、それぞれの歌が互いに作用し合って、歌そのものがさらに広がっていく楽しさを感じます。こちら側の自己満足ではなく、うたう喜びが、そのまま皆さまにも伝わっていけばいいなと、心から願っています。

 

 

<プログラム>

 

(1)<うた> 山下智寿子・関口真里子 <ピアノ> 平野義子
オペラ「ガリバー」(原民喜の「ガリバー旅行記」より)
ジョナサン・スウィフト/原作 (原民喜/訳による)
朝比奈尚行/台本 萩京子/曲
◎歌とともに物語が始まる ◎子守歌 ◎とんでもないぞ ◎漫才T 
◎ジャストマイサイズ

 

(2)<うた> 東いずみ <ピアノ> 武石玲子
◎ありがとういのち ビオレータ・パラ/詩・曲 高橋悠治/訳 林光/編
◎流れる水と岩のうた 林光/詩・曲

 

(3)<うた> 村上理恵子 <ピアノ> 平野義子
◎出発 オペラ「変身」より 山元清多/詩 林光/曲
◎ほうせん花 キム・ヒョンジク/詩 窪田聡/訳 ホン・ランバ/曲

 

(4)<うた> 村尾信彦 <ピアノ> 湯田亜希
歌曲集「白鳥の歌」より 林光/訳 F.シューベルト/曲 
◎恋の飛脚 (レルシュタープ/詩) 
◎君の姿絵 (ハイネ/詩) 
◎もう一人のおれ (ハイネ/詩) 

 

(5)<うた> 石黒由紀子・新仁江・藤居洋子・大舘真弓 <ピアノ> 湯田亜希
オペラ「森は生きている」より S.マルシャーク/原作 林光/台本・曲
◎冬から春へ

 

(6)<うた> 鈴木道子 <ピアノ> 湯田亜希
「セチュアンの善人」より B.ブレヒト/詩 長谷川四郎/訳 林光/曲・台本構成
◎飛行士 ◎少し待って ◎暗い晩 ◎救いの小さな船 ◎あなたたちなさけない 
◎シェンテのモノローグ ◎帰りなんいざ

 

( 休 憩 10分 )

 

(7)<うた> 金山さち子 <ピアノ> 武石玲子
◎歌物語「ほうすけのひよ子」 谷川俊太郎/詩 林光/曲

 

(8)<うた> 湯田亜希・初山きよ子 <ピアノ> 井口真由子
◎背中あわせの歌 佐藤信/詩 林光/曲
◎こんなきれいな人
 歌芝居「魔法の笛」より シカネーダ/台本 林光/訳 W.モーツアルト/曲 
◎どうしたのかしら
 オペラ「フィガロの結婚或いは狂おしき一日」より
 ボーマルシェ/原作 ダ・ポンテ/台本 加藤直/訳 W.モーツアルト/曲 

 

(9)<うた> 山岸久美子 <ピアノ> 武石玲子
◎春へのあこがれ
 A.オーフェルベック/詩 林光/訳 W.モーツアルト/曲 
◎粉屋の花 
歌曲集「美しき水車小屋の娘」より ミュラー/詩 林光/訳 F.シューベルト/曲 

 

(10)<うた> 山本尚子・中馬美和 <ピアノ> 井口真由子
◎マルチェリーナとスザンナの二重唱
 オペラ「フィガロの結婚或いは狂おしき一日」より
 ボーマルシェ/原作 ダ・ポンテ/台本 加藤直/訳 W.モーツアルト/曲 
◎わたしの好きな歌 (林光さんに) 萩京子/詩・曲 
◎空があんまり光れば 続「歩行について」より 宮澤賢治/詩 林光/曲
◎犬 続「歩行について」より 宮澤賢治/詩 林光/曲 

 

(11)<うた> 武石玲子 <ピアノ> 平野義子
 B・ブレヒト/詩 H.アイスラー/曲 
◎庭に水をまくことについて (加藤直/訳) 
◎伯爵夫人と森番のバラード (稲葉良子/訳) 
◎商人のうた(需要と供給) (「処置」より 高橋悠治/訳) 

 

(12)<うた> 佐藤翠 <ピアノ> 平野義子
舞台のためのカンタータ「鼠たちの伝説」(安部公房「プルートの罠」より)
佐藤信/台本・詩 林光/曲
◎見えない月 ◎鼠たちの気懸りな目覚め ◎野良猫プルートの病いのアリア
◎オルフォイスとオィリディケの朝ごはん

 

( 休 憩 10分 )

 

(13)<うた> 杉山春 <ピアノ> 平野義子 <トイピアノ>武石玲子
◎じぶんの影だけのときの歌 カンタータ「脱出」より 木島始/詩 林光/曲
◎パレスチナの子どもの神さまへの手紙 
パレスチナの難民キャンプの子どもたちの絵本より 高橋悠治/曲
◎夜の中を ヴァルター・ベンヤミンの書簡より 林光/構成・曲

 

(14)<うた> 小林優 <ピアノ> 井口真由子
歌曲集「白鳥の歌」より ハイネ/詩 林光/訳 F.シューベルト/曲 
◎アトラス ◎さかな漁りの娘 ◎もう一人のおれ

 

(15)<うた> 柳澤久子 <ピアノ> 井口真由子
◎オペラ「あまんじゃくとうりこ姫」より 若林一郎/台本 林光/曲

 

(16)<うた> 町田弘子・西村陽子 <ピアノ> 湯田亜希
◎マルチェリーナとスザンナの二重唱
 オペラ「フィガロの結婚或いは狂おしき一日」より
 ボーマルシェ/原作 ダ・ポンテ/台本 加藤直/訳 W.モーツアルト/曲 
◎てんとう虫 
ドイツの伝承童謡集「子供の不思議な角笛」より 林光/訳 R.シューマン/曲
◎すきとほるものが一列 宮澤賢治/詩 林光/曲 
◎すきとほってゆれているのは 「歩行について」より 宮澤賢治/詩 林光/曲

 

(17)<うた> 渡辺久子・澤井留里 <ピアノ> 武石玲子
◎恋のへのへのもへじ 佐藤信/詩 林光/曲
◎すきとほるものが一列 宮澤賢治/詩 林光/曲 
◎てィんさぐぬ花 沖縄童歌より 林光/曲

 

(18)<うた> 無藤恭代 <ピアノ> 平野義子
◎ゆめ売り 金子みすゞ/詩 萩京子/曲
◎今年の花の・・・ 新川和江/詩 林光/曲
◎小川の子守唄
歌曲集「美しき水車小屋の娘」より W.ミュラー/詩 林光/訳 F.シューベルト/曲

 

 

 

 

 

■2023年10月23日のニュース

 

「いま、うたたちの集い Part.18」がまもなく開催です。
「♪歌の数だけ「ひと」がみえる。さあ、どんな歌の数々が。」
26名の歌い手と4名のピアニストの出演です。
入場料は無料(ただし、入場するにはチケットが必要です)。
問い合わせはこのホームページのメールアドレスへ。

 

ご案内のチラシを以下貼っておきますね。

 

 

 

■2023年8月2日のニュース

 

6月30日の公演「竹田恵子 ドイツ歌曲(林光/訳)をうたう(杉並公会堂小ホール)は、おかげさまで好評のうちに終えることができました。ありがとうございました。
■トップページに掲載の通り、本コンサートのプログラムから、本日付けで「YouTube配信」に7曲をアップしました。

 

 

 

 

 

■2023年7月2日のニュース

 

この9月に林光訳による「ドイツ歌曲をうたう」のCDを新録音する予定でいます。下記のクリックでその「ご案内チラシ」がご覧いただけます。
ご期待ください。

 

「ドイツ歌曲(林光訳)をうたう」CDの予約ご案内.pdf





■2023年7月1日のニュース

 

6月30日公演の「竹田恵子 ドイツ歌曲(林光/訳)をうたうを無事終了しました。
当日プログラムの竹田ごあいさつプログラムノートを以下掲載しておきます。

 

<詩と音楽のこと>  竹田恵子

 

光さんは1993年11月に東京都教職員組合の教研集会で、「シューベルトの歌曲」という講座を行っています。その「講座集」(東京音楽教育の会が編集・発行)のあとがきに、光さんはこんなことを書いています。
「テープ起こしに手を入れながら、シューベルトの歌曲こそ、こんにち的ないみでの《歌》の原点であると、あらためて思った。それは、しろうと的なところを捨てないままで専門家になるという、めったにできないことをやった、カレの生きかたと、深くかかわっている。」
それはまったく、光さん自身のことだと思います。
音符の読めない芝居の役者に歌(ソング)を次々と提供し、街頭で素人がうたえる歌も書きました。また1972年からは「音楽教育の会」に共同研究者として参加し、数多くの子どもたちの歌も作曲しています。そしてこんにゃく座のオペラでは、私たちの国の「民話」から始まったものの、ブレヒトを経由し、モーツァルト、宮澤賢治、シェークスピア、そしてマルシャークや漱石やカフカなど、光さんの音楽は国家の囲いをやすやすと超えて、私たちの技術もまた、共に育つなかで、螺旋を描いていきました。
この講座で光さんは、モーツァルトからシューベルト、そしてシューマンへの歌曲の流れを、詩の関係とともに、とてもわかりやすく語っています。
 モーツァルトの時代にはまだ、民衆的に愛される歌と教会音楽の芸術性は大きく別物とされていました。そんな時代にモーツァルトが「春へのあこがれ」や「すみれ」を書くことで、民衆的なスタイルをもった芸術歌曲へと先駆的な一歩を進めます。
そしてシューベルトの登場。民謡や民衆文学への関心が時代的に高まり、ゲーテがドイツ詩の基礎となり、民衆的なものや自然や人間が、芸術とより一体となって、ドイツ・リートが確立されていきます。
さらにシューマンです。光さんは詩人ハイネの登場がとても大きかったといいます。ゲーテと違って非常に激しい、時には皮肉に満ちたハイネの詩は、シューマンの歌曲をより深くし、大きく影響を与えたといいます。シューベルトの晩年の「白鳥の歌」には、ハイネの詩が6曲あります。まさしくそのことが、のちの「詩人の恋」へと、シューベルトとシューマンをつなぐ象徴ともなっています。
最後に、光さんの訳詩の素晴らしさ!
うたってみるととてもよく分ることですが、日本語のイントネーションと音符との関係が、ドイツ語を訳する際にここまで考え抜かれているのかと感動します。極めて平易で、誰にも分かる詩。そこには光さんの、「音楽」と「ことば」を通じて世界へと繋がろうとする強い意志を感じます。
その点もぜひお聴きいただければと思います。

 

 

♪プログラム♪

 

■W.A.モーツァルト/作曲 
(1756-1791)

 

◎春へのあこがれ (1791)
A.オーフェルベック/詩  
*モーツァルト最晩年の歌曲3曲のうちの1曲。主題は「ピアノ協奏曲第27番変ロ長調」第3楽章の主題から転用されている。詩は童詩集「フリッツヒェンの歌」から採られ、子供用歌曲として作曲された。この頃のモーツァルトは悲惨で窮迫のどん底にあったといわれるが、その影がみじんも感じられないのがすごい。

 

◎すみれ(1785)
W.ゲーテ/詩
*モーツァルトのゲーテ詩によるただひとつの曲。いわゆる「有節歌曲」ではなく各節ごとに異なった旋律をつけ、詩の内容の発展を表す「通作歌曲」の形式により、ドイツ・ロマン派リート(歌曲)への革新的な道を開いたといわれる。なお最後のすみれに向けた詠嘆のことばは、モーツァルト自身が付け加えている。  

 

■F.シューベルト/作曲
 (1797-1828)

 

◎あれののばら (1815)
W.ゲーテ/詩 
*映画「未完成交響曲」ではシューベルトが授業中に生徒を放り出して作ったことになっているが、これはフィクションとのこと。この詩にはさまざまな作曲家が作曲を試みており、その数は優に150を超えるといわれている。

 

◎ます (1817)
D.シューバルト/詩
* 清流や魚影、そして釣師の心をドラマチックに表現している。1819年にはピアノ5重奏曲イ長調「ます」第4楽章の変奏曲主題に用いられ、いっそう有名になった。

 

◎魔王(1815)
W.ゲーテ/詩   
* シューベルト18歳の作品。馬の疾駆する足音と不穏な風音を思わせる3連符の緊迫感から始まり、音楽は登場人物を的確に描きわけ、その劇的効果は歌による心理劇ともいわれる。だが50歳近く歳の差があるゲーテはこうした付曲を好まず、シューベルトが贈った楽譜を一見もしなかったらしい。しかし1830年に再び女性歌手デフーリントの「魔王」を聴いて、感激のあまり彼女の額にキスをし「すばらしい!一部始終がまるで目にみえるようだ」と言ったといわれている。その2年前にシューベルトはこの評価を知ることなく世を去っている。

 

◎糸をつむぐグレートヒェン (1814)
W.ゲーテ/詩   
*ゲーテの戯曲「ファウスト」から。悪魔と取り引きして永遠の若さを手に入れたファウストに恋をし、妊娠。その子供を殺し公開処刑された娘グレートヒェンがうたう歌。ファウストに会いたいばかりに母親を睡眠薬で眠らせ、薬の量をまちがえて死なせてしまうという陰惨な話。なんと当時17歳であった天才シューベルトによるゲーテによる詩の最初の作曲。この曲をもって<ドイツ・リート>の誕生日と呼ぶこともある。糸車のゆらぎ、あるいは変速する回転のように、狂おしく心が乱れて、来なくなったファウストを想うグレートヒェンの独白は、まるでオペラのようだともいわれる。

 

◎水の上でうたう (1823)
F.L.G.シュトルベルク/詩
*夕暮れのおそらく湖での舟遊び。8分の6拍子が「舟歌」のリズムを思わせる。水面に揺れる舟と、その波間に反射し輝く陽の光が、時とともに趣を変えていく。

 

★歌曲集「美しき水車小屋の娘」より
W.ミュラー/詩
*シューベルトの20曲による連作歌曲集。1823年5月から11月にかけて一気に作曲された。全体はW.ミュラーの詩による20曲からなる。遍歴する水車屋の職人が美しい娘に恋をし、娘の心がわりのために小川に身を投じてしまう。『冬の旅』に比べて<有節歌曲>が多く、同一の調性と拍子を用いて各曲間の統一もはかられ、<小川>の象徴として16分♪のモティーフがしばしば出現する。水車の動きなど描写音楽の手法が効果的に用いられている。留守だった友人の家でふと目にしたミュラーの「旅のワルトホルン吹きの遺稿からの詩集」を持ち帰ったことでこの作品が生まれ、友人が翌日訪ねると、すでに3曲が作曲されていたという。
◎たび (第1曲)
◎どこへ (第2曲)
◎粉屋の花 (第9曲)
◎小川の子守唄 (第20曲)

 

★歌曲集「冬の旅」より 
W.ミュラー/詩
*シューベルトが1827年に作曲した24曲からなる連作歌曲集。恋に破れた若者が旅をする。その心象風景を主題とし、現実と虚構の間を彷徨(ほうこう)する若者の心理が一こまずつ現れては消えるかのように描かれている。全体が暗く、絶望的な雰囲気に覆われている。シューベルトはすでに病魔と貧窮と人間関係の不和など、死の前年の作曲者を取り巻いていたさまざまな苦しみがこの作品に反映しているといわれる。音楽的には「水車小屋の娘」に比べ、「有節歌曲」がはなはだしく数が減っており、代わりに柔軟自在な旋律とピアノ伴奏の著しい充実ぶりが特徴としてあげられる。とりわけ複雑な心理描写を可能にした伴奏部に対する評価は高く、ドイツ・ロマン派の歌曲における伴奏書法に多大な影響を及ぼしたといわれる。
◎おやすみ (第1曲)
◎春の夢 (第11曲)  

 

★歌曲集「白鳥の歌」より
前2曲はL.レルシュタープ詩
後2曲はH.ハイネ/詩
*シューベルトが生涯を閉じた1928年に作曲された14の歌曲(レルシュタープの詩7曲、ハイネの詩6曲、ザイドルの詩1曲)を、連作歌曲集としてではなく、彼の死後にウィーンの出版社がまとめて公にしたもの。編纂も題名もこの出版社による。そのためか、音楽の言葉への強い傾斜、密着と、一方には洗練され尽くした明解簡素な音楽的表出が混在しているともいえる。
◎恋の飛脚 (第1曲)
◎わかれ (第7曲)  
◎君の姿絵 (第9曲)
◎都市(まち) (第11曲)

 

■R.シューマン/作曲 (1810-1856)
★歌曲集「詩人の恋」より
H.ハイネ/詩
*シューマン作曲の連作歌曲集。彼が集中的に歌曲に取り組んだ「歌の年」とも呼ばれる1840年に書かれたこの歌曲集は、彼の創作活動の最高峰をなすばかりでなく、ドイツ・ロマン派歌曲の代表的作品として評価されている。「自分はナイチンゲールのようにいつまでも歌い続けるでしょう」とはこの年のシューマンの言。なお歌詞はハイネの詩集『歌の本』のなかの「抒情的間奏曲」から。彼が選んだ16の詩からなり、その多くは規模が小さいが、ピアノの伴奏がそこに加わるとき、歌詞の微妙な情感が見事なまでに息づく。ハイネの失恋体験からこれらの詩は生まれたとされているが、のちに妻となったクララとの結婚に際し、クララの父に反対されたシューマン自身の経験も、ここには反映しているものと思われる。
◎美しい五月 (第1曲) 
◎ぼくの涙が (第2曲) 
◎ばらも鳩も (第3曲) 
◎きみの目を (第4曲) 
◎ぼくの胸の傷を (第8曲) 
◎ほくは夢で (第13曲) 

 

★「子供のための歌のアルバム」より
ドイツの「マザーグス」ともいわれる「子供の不思議な角笛」から
◎てんとう虫 (1849)
*ドイツ・ロマン派のふたりの詩人アルニムとブレンターノ編の伝承童謡集「子供の不思議な角笛」からの一篇。

 

 

 

 

 

■2023年7月1日のニュース

 

6月30日公演の「竹田恵子 ドイツ歌曲(林光/訳)をうたうを無事終了しました。

 

そのためトップページを変更し、前に掲載されていた「ドイツ歌曲をうたう」の宣伝チラシはこちらに移動します。

 

 

 

 

 

 

 

■2023年6月8日のニュース

 

6月30日公演の「竹田恵子 ドイツ歌曲(林光/訳)をうたうチケットが完売しました。
当日券も発券できませんので、ご了承ください。

 

 

 

 

■2023年6月2日のニュース

 

トップページで表記しましたが、おかげさまで満席が予想されるため、6月30日公演の「竹田恵子 ドイツ歌曲(林光/訳)をうたうのホームページからのチケット発売を中止しました。

 

現時点で当日券は出せるかどうか見通せない状況ですが、「最新ニュース」で6月29日(木)の朝には、その有無が分かるように表示いたします。

 

■このコンサートに多くのみなさんから関心をもっていただき、心から感謝しています。

 

 

 

 

■2023年5月9日のニュース

 

6月30日公演の「竹田恵子 ドイツ歌曲(林光/訳)をうたうチケット販売を開始しました

 

そのためトップページを変更し、前に掲載されていた「いま、うたいたい歌2023」の写真とチラシはこちらに移動します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■2023年3月19日のニュース

 

3月15日〜17日にかけ、神奈川県東大和市のハミングホールにて、「竹田恵子 ドイツ歌曲(林光/訳)をうたう」のCD録音を行ってきました。発売は7月7日を予定しています。
最も心がけたことは、林光さんの <訳詩の素晴らしさ!>、そして詩と音楽が互いに高め合う<ドイツリートの美しさ!>を伝えることでした。そこにシューベルトの「魔王」や「糸を紡ぐグレートヒェン」のような<劇的表現!>も加わります。
苦労しましたが、やってとても良かったと思っています。
昨年9月の大田こども劇場で企画したプログラムをベースに、さらに何曲かを追加し構成しました。結果、とても充実したプログラムになったのではないかと自負しています。
井口真由子さんのピアノはほんとうに美しい。ずいぶん助けられました。苦労しましたが、二人で最後まで走り切ることができたと思っています。CDの発売準備が整いましたら、このホームページであらためてご案内いたしますので、ぜひお聴きいただければと思います。
そして穏やかですべてを包んでくださるコジマ録音の録音技師であり社長の小島幸雄さん、若いにもかかわらず素晴らしい耳をもって二人に適格な指示をしてくださった同じく録音技師の川波惇さん、さらに3日間の立ち会いサポートしてくださったピアノ調律師の眞鍋要さん、同じく3日間にわたって録音風景写真を撮ってくださった姫田蘭さん、ほんとうにありがとうございました。感謝のことば以外ありません。。
以下、録音風景写真を何枚か貼っておきます。
最後の写真には、はっきりと歳の差が出ていて、笑ってしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■2023年1月30日のニュース

 

竹田恵子「いま、うたいたい歌2023〜林光さんへの手紙」のDVDがほしい、との声が多く届きました。コロナもあり高齢のため会場には行けなかったという人や、とても良かったのでもう一度観てみたいという人などの声に応え、今回も姫田蘭さんにお願いをし「私家版DVD」を制作しました。「お問い合わせ・ご感想及びチケット・DVDのお申し込み」メニューからお申し込み可能です。。

 

 

 

 

■2023年1月26日のニュース

 

15日の公演からすでに10日以上経つのに、からだのあちこちがまだ痛く、やはり年齢(とし)には勝てませんね。でも心はだいぶ落ちついてきたので、「YouTube配信」にアップした今回の5曲をあらためて観てみました。ピアニスト後方から撮ったカットがかっこいい。映像がとてもきれい。そして印牧真一郎メモリアルコンサート「飛ぶ橇〜アイヌ民族のために」のダイジェスト版を以前にアップしたのを思い出し、あらためて観てみました。音楽がいい。映像も美しいなあ。そう、美しいといえば、「いま、うたたちの集い・part17」の映像の最後も、望月太助さんの照明が会場の外と繋がってほんと美しかったなあ。なので、全体のうち「飢餓陣営」(宮澤賢治/原作 林光/台本・作曲)のアップもできるの?と聞いてみると、可能だというのでお願いしました。戦争と飢餓、反戦と凶作からの復興という2つの主題が織り込まれていて、この時代、とてもタイムリーな作品だと思います。あと2日もあれば、最後の「生産体操」の演出など、もう少し工夫ができたのではと反省しています。合唱のひな壇を囲んで皆がお客と同じ視点でみつめるなか、棚仕立てによって枝をのばし生長していく様と同じに、賢治が子どもたちの豊かな成長を願った視点と重ね合わせる演出もできたのではないかと。最後の賢治の「行進歌」は、彼らは決して軍隊には戻らず、豊かな実りのなかで終わらせる方針でしたので、それはほぼ実現できたのではないかと思っています。
一番下の(「飛ぶ橇」の上)に置きましたので、お時間のある方はぜひご覧ください。

 

 

 

 

 

■2023年1月23日のニュース

 

本日YouTubeに、1/15にトッパンホールにて公演した「 いま、うたいたい歌2023〜林光さんへの手紙」の舞台から、5曲「YouTube配信」メニューにアップしました。撮影は姫田蘭さん。全17曲のコンサートです。全体を貫く台本構成を意識しながら、1曲1曲をどう歌うか。曲の選択ととも、構成にも関わりながら、何とか加藤さんのみつめていたものをつかまえることができたのではないかと思っています。
ピアノの松本眞昭さん、お疲れさまでした。
ピアノ後方からのカット、とてもかっこいいですね。
ほんとうにありがとうございました。
ではどうぞ「YouRTube配信」からご覧ください。

 

 

■2023年1月16日のニュース

 

トップページの通り、「竹田恵子 いま、うたいたい歌2023〜林光さんへの手紙 (構成台本・演出/加藤直 構成協力・うた/竹田恵子 ピアノ/松本眞昭)」を無事終えることができました。写真は姫田蘭さん。昨晩すぐに送ってくれて、この素早さにはほんとうに感嘆してしまいます。
そして舞台。
ハラハラの連続でしたが、昨日は多くのメールをもらい「緊張感が凄い!」「すごく良かった!」と言っていただけたので、いまはホッとしているところです。私なりに考え続けた「光さんへの手紙」のさまざまな歌を、何とか「一本の線」で繋げることができたのではないかと思っています。ご来場の皆さまには心から感謝です。ありがとうございました。

 

以下当日プログラムとごあいさつとプログラムノートを掲載しておきます。

 

 

<ごあいさつ>  竹田恵子

 

宣伝チラシに「<うた>は時空を超えて」という文章を書きました。副題は「林光さんへの手紙」。元々は光さんからの「うた」という手紙。それにどう返信するのか、それこそが私がうたう動機なのかもしれません。そして光さんと、そこに繋がる人々との関わりのなかで、世界に存在する多くの「うた」を知ることができました。そのお礼の気持ちを、光さんへの返信として、同時に皆さまに向けて発信したいと思いました。
いつの時代にも「うた」があります。光さんがこだわった「消費」とは無縁の「うた」たち。そこには「闘い」があり、「祈り」があり、さらに時空を超えた「夢」があります。連日連夜、戦争の破壊と悲惨さを見せられるこの時代に、うたとは何か、その行く先はどこか、ひとつの問いかけとして、置いてみたいと思いました。
ピアノの松本眞昭さんとは初めての共演です。新しい感覚と出会えるのはとても楽しい。
台本構成・演出の加藤直さん。なんと旅する「女の歌芸人」と書いていただきました。
???と思うとともに、ドキッとしました。
光さんとの出会いも含め、いまある私の「うた」の始まりがこんにゃく座だとすると、バスのなかで寝泊まりし、全国を旅したあの最初の頃の体験が思い返されます。
旅、そして歌芸人。確かに旅は、ここではないどこか。国境も易々と越えてゆきます。そしてさすらう芸人は、制度(この世界のシステム)やそのしがらみからは常に距離を置いた存在。たぶん過大評価だとは思うけれど、加藤さんはそんな風に、今回もまた、私の背中を押してくれているのだと思います。
最後に、今日お出でいただいた皆様に、お客様あってこその芸人、毎度のことながら、心からの感謝です。

 

加藤直さんのチラシ・コメント(再録)

 

一遍上人の踊り念仏に興味を持っています。信仰と芸能が融合した庶民の楽しみとも言えますが、つい踊りに加わって気が付いたら故郷からずっと離れ、踊りながら漂白の旅を続けている自分がいる、かもしれない。
竹田恵子さんのウタを聞いていると、その昔いたかもしれない、旅をする「女の歌芸人」を想像するから楽しい。懐かしい。彼女は自分のウタを聞いてくれる人を求めて旅をする訳です。アナタを訪ねて。
けれどその歌声に気を許していると突然「安穏無事に惑わされず、さっさと別の世界を考えなさい!」と、挑発されるのだから泡を喰うが、何とも恵子
さんのウタは面白い。刺激的でもあり厄介だ。いつの間にか聞いている自分が、旅の途中だと気付き、慌てたりするかも知れないのだから。

 

 

うたいたい歌があるかぎり  池田逸子         

 

群れることの苦手な竹田恵子さんが、歌のためには群れることを辞さない。そんな彼女のコンサートや録音に加担し(何かと物言いし)付き合って、もう何年になるだろう。60歳になったら演奏会を止めると恵子さんが言ったのは、もうずいぶん前だが、いまもまだうたっている。これからもうたいつづけるだろう。うたいたい歌があるかぎりは。
恵子さんの歌は林光さんとの出会いと関わりの中で育まれ、歌う内容やジャンルもぐーんと広がった。つねに時代や世界と切り結んで、時機を失わずに曲(歌だけでなく)を書き、共同作業をいとわずにエネルギッシュに活動する林光さんの歩き方は、このうえなく刺戟的だった。
林光さんの没後3年に出したCD『竹田恵子 いまうたいたい歌2015〜林光に捧ぐ〜』には、恵子さんの歌のルーツ(の一部)と、うたいつづける理由(わけ)が刻まれている。このコンサートは、それとひとつながりなのだ。

 

 

■当日プログラム

 

◎さくらんぼが実るころ
ジャン・バティスト・クレマン/詩
アントワーヌ・ルナール/曲(1866) 林光/訳・編 
*パリコミューン間近な第2帝政時代にこの歌は生まれた。いまも多くの人々の愛唱歌となっている。2011年7月に林光が編曲した混声合唱譜による。

 

◎すももの木
ベルトルト・ブレヒト/詩(1934)
ハンス・アイスラー/曲(1960) 林光/訳
*ブレヒトの第三詩集「スヴェンボルの詩」所収。庭の片隅にひっそりと生えているすももの木、みすぼらしく、何気ないものに向けるまなざしが作曲家晩年の円熟の筆致で見事に音化されている。

 

◎そよかぜの歌
ベルトルト・ブレヒト/詩(1916)
ハンス・アイスラー/曲 加藤直/訳
*ブレヒト作「第二次大戦中のシュヴェイク」より。アイスラーの作曲は1943年からなされていたが、初演されたのはブレヒトの死後の1957年にワルシャワにおいてであったという。

 

◎夜の中を
ヴァルター・ベンヤミン/詩(1916)
林光/訳・曲(2008) 
*ベンヤミンはベルリン生まれのユダヤ人。哲学を専攻し、アドルノ、ブレヒトらと親交を結ぶ。ナチス政権成立後はパリに亡命して活躍。ドイツ軍の侵攻したパリを逃れ、ピレネー山中の国境の町スペインのポルボウに辿り着いたが、入国は許されず国境警察からフランスへの送還を通告されて自ら命を断った。この歌詞は第一次世界大戦の青年時代に、友人ヘルベルト・ベルモーレに宛てた書簡から取られている。

 

◎歩くうた
谷川俊太郎/詩
林光/曲(1980) 
*アムネスティ・インターナショナル日本支部の依頼で作曲。

 

◎花のうた
佐藤信/詩(1967)
林光/曲(1967)
*樺美智子さんの亡くなった6.15記念シュプレヒコールの第2作目「ゲバラが髭をそる朝」の劇中歌。同年秋、キューバの革命家チェ・ゲバラの死を知って、歌詞を整理・改訂し、10.8羽田闘争で亡くなった山ア博昭さんを追悼した自由劇場&劇団青芸の合同公演「別れの手紙」で改訂初演。ピアノの間奏と後奏は1973年の合唱版に基づいている。

 

◎新しい歌
フェデリコ・ガルシア・ロルカ/詩
長谷川四郎/訳 林光/曲(1981) 
*ロルカは、1936年のスペイン内戦でフランコ将軍に率いられたファシストたちに拉致され銃殺された。享年38歳。ソング「新しい歌」は、1981年に水牛楽団の水牛ミュージック・コンサート「カタルーニャ賛歌」でロルカの詩から一部を抜粋、作曲者自身によって歌われた。のちに合唱版として、タイトルを「明日ともなれば」と変え、全詩への作曲が実現した。

 

◎天使のリン
ヴィオレータ・パラ/詩・曲(1966)
高橋悠治/訳 
*ビオレータ・パラは、ビクトル・ハラとともにキューバ革命以後、ラテンアメリカで一気に燃え広がったヌエバ・カンシオン(新しい歌)運動を牽引した。チリ北部の舞曲形式リンを用いて、死んだ幼児の通夜伝承歌に倣って書かれている。パラはチリの農山村をくまなく歩いて採集した民謡をうたい広めつつ、ひっそりと生きている人々に寄り添う歌をたくさん作り出した。

 

◎ありがとういのち
ヴィオレータ・パラ/詩・曲(1966)
高橋悠治/訳 林光/編
*パラ最晩年の名歌として知られ、いまもヌエバ・カンシオンの宝としてうたわれ続けている。

 

◎耕す者の祈り
ヴィクトル・ハラ/詩・曲(1969)
高橋悠治/訳 林光/編
*ヴィクトル・ハラは最初演劇人として世に出たが、パラの後継歌手としてフォルクローレ・グループ「キラパジュン」や「インティ・イリマニ」の指導者としても活躍。第一回「新しいチリの歌フェスティバル」の優勝曲でもあるが、奇しくもその会場となったチリ・スタジアムは、ハラがこの歌で最初に立った場所でもあり、最後にハラがピノチェトの軍事政権によって両手を打ち砕かれ、虐殺された場所ともなった。

 

◎魂は旗にみちて
ヴィクトル・ハラ/詩・曲(1970)
高橋悠治/訳
*この年の1月、人民連合アジェンデ政権が樹立された。しかしファシストたちの暴力がさらに激しさを増し、それに反対するデモの渦中、わずか18歳だったミゲル・アンヘルが、人ごみにまぎれ込んでいた私服警官に撃たれ殺された。この歌は、第二回「新しいチリの歌フェスティバル」に向けて、彼のために書かれたと言われている。

 

 

休 憩 ( 15分 )

 

 

◎モンテカシノの赤い芥子
フェリックス・コナルスキ/詩
北川フラム/訳 アルフレート・シェッツ/曲(1944)
林光/編 
*ナチス・ドイツ軍が立てこもったイタリアのモンテカシノの修道院を、ポーランド部隊(国際旅団)が奪還した際に作られた歌。

 

◎埋められた武器の子守唄
クリスティーナ・クラヘルスカ/詩・曲(1944?)
北川フラム/訳 林光/編 
* 第二次大戦中、ナチス・ドイツの支配のなか、ソ連軍が接近し開放地域に親ソ政権を樹立。ソ連軍の呼びかけで、ポーランドの抵抗組織が市民とともに起こした反乱。その「ワルシャワ蜂起」の第1日目に、30歳の若さで斃れた看護兵クラヘルスカが残した歌。パルチザン部隊の愛唱歌ともなった。ワルシャワのヴィスカ河畔に彼女がモデルとなった人魚像(シレナ像)が立っている。
しかこの闘いで、ソ連軍の救援はなく、ワルシャワ蜂起の敗北が、アンジェ・ワイダ監督の映画「地下水道」や「灰とダイヤモンド」となって描かれている。

 

◎OTTO E MEZZO
フェリーニの映画「8 1/2」より(1963)
加藤直/詩 ニノ・ロータ/曲 
*映画「8 1/2」は、フェリーニの単独作品としては8本目で、最初の作品が共同監督であったため、合わせて8+ 1/2という意味らしい。音楽隊がやってきて全員が輪になって踊るラストシーンが特に有名。主人公グイドの「人生は祭りだ。共に生きよう」というセリフとともに、この曲が流れる。本来は歌はないが、曲に合わせ加藤が新たに作詞した。

 

◎群衆
ミシェル・リヴゴーシュ/詩(1958)
加藤直/訳(作詞) アンヘル・カブラル/曲(1953) 
*エディット・ピアフの持ち歌による。ピアフは米国公演や南米ツアー等にでかけると、「これは!」という歌を見つけてフランス語の歌詞をつけ、すぐに自分の持ち歌にしたらしい。アルゼンチンのワルツ「だれも私の悩みを知らない」が原曲。シャンソンは古くは中世の職業的放浪芸人たちの歌にまで遡ることもできる。そうした世俗的シャンソンの伝統が、ドイツ各地で隆盛を極めたカヴァレット(キャバレー=文学寄席)文化の影響も飛び火して、現実社会を見つめ、その矛盾や不正を告発する歌ともなった。ピアフのシャンソンは、実はとても叙事的で、恋に愛に仕事に、すなわち満身創痍にもかかわらず、生きることに貪欲で、人生そのものを粉飾なく歌い続けた。2011年に、加藤直の書き下ろし台本により、竹田が、ピアフの愛唱歌を中心構成した「オペラひとりっ切り(番外編)<パダン・パダン・パダン>」を上演している。

 

◎妖精たちの歌
シェークイピア/詩「夏の夜の夢」より
小田島雄志/訳 林光/曲(1977) 
*「夏の夜の夢」第2幕第2場の冒頭で、妖精タイテーニアがお供の妖精たちに歌わせるソング。等身大の人形を操る劇団・人形の家公演のために作曲された。オペラシアターこんにゃく座の1996年のオペラ「夏の夜の夢」でもこの歌はそのまま使われている。

 

◎うた(バラ色の人生)
エディット・ピアフ/詩・曲(1944―1946)
ピエール・ルイギー/曲 加藤直/訳(作詞) 
*歌詞は、訳詩というより加藤の作詞に近い。ピアフ自身がパリ解放の直後、イヴ・モンタンとの恋の喜びを込めて1944頃に歌詞を書き、即興でほぼメロディーの下地も作ったといわれる。ピアフは仏音楽著作権協会に登録された作曲家ではなかったため、友人のルイギイの名と力を借りて登録したが、評判はかんばしくなかった。その後無名の歌手がこの歌を歌っているのを知り、ピアフは1946年にあらためて録音し、発表。ピアフの代表曲のひとつとなった。加藤の詩は、対象をモンタンではなく、あの飛行機事故で亡くなったボクシング世界チャンピオンの恋人マルセル・セルダンへの歌だとあえてこの元歌を読み替えていて、そこには死者と交感するもうひとつの変奏された愛の風景がみえてくる。と同時に、その歌をうたい継ぐ旅する「女の歌の芸人」が、この場から去り行く際にうたった私たちへの「手紙」のようでもある。

 

 

(写真/姫田蘭)

 

 

 

 

■2022年12月24日のニュース

 

 昨日(12月23日)、大田こども劇場さん主催の「竹田恵子さんの歌を聴くシリーズ3〜いま、うたいたい歌2022〜林光さんへの手紙」を無事終えました。
 ハハハ、無事どころではなく、緊急事態の有事もありましたが(汗)。
 でもこうして舞台でお客さまに接して通しでやってみると、いっぱい見えてくるものがあります。「林光ソングをうたい継ぐ(総集編)」「林光訳「ドイツ歌曲をうたう」そして今回の「いま、うたいたい歌」と、大田こども劇場さんにはほんとうにお世話になりました。特に「いま、うたいたい歌2022」は、CD「いま、うたいたい歌2015」を制作して7年、ぜひ舞台化したいと思いながら、大田こども劇場さんからのお声掛けがなかったら、この企画は決して実現できないものでした。
 来年の1月15日のトッパンホール「竹田恵子 いま、うたいたい歌2023〜林光さんへの手紙」のプレステージとしての意味合いも大きく、お蔭さまで一般公演に向けて大きくイメージを広げることができました。
 なぜいま私はこの歌たちと出会いたかったのか。なぜこれらの歌をプログラムしたのか。
 加藤さんが書いた基本コンセプトと、私の意見も含めて構成されたこの台本の「連続性」のなかに、これらの歌をひとつの線として繋いでいくことで、よりハッキリと「いま」という時代(そして課題)が浮かび上がってくるように思いました。
 「うた」とは何か。なぜ私はうたうのか。そして光さんへの「うた」による返信。
 ぜひ、年明けの1月15日をご期待ください!
 チケットはこのホームページの「お問い合わせ・ご感想及びチケット・DVDのお申し込み」メニューからご注文できます。
 当日姫田蘭さんに写真を多く撮っていただいたのですが、来年の一般公演をお楽しみに、ということで、最後のご挨拶の写真のみ掲載しておきます。

 


写真/姫田蘭

 

 

■2022年11月4日のニュース

 

竹田恵子 いま、うたいたい歌2023〜林光さんへの手紙」のチラシをトップページに掲載しました。
絵は永山裕子さん。デザインは尾形まどかさんにお願いしました。
この絵はクロッキーですが、裕子さんの水彩はほんとうに素晴らしいので、ぜひ彼女のホームページ等でご覧ください。技術が凄いです。美しさに圧倒されます。
また、まどかさんには予定より早く完成させていただきました。11月中旬のチケット発売予定でしたが、すべて「自由席」のため、本日よりネットに掲載させていただきました。
公演はずいぶん後の話ですが、早めにご購入いただくと、私も安心して稽古に取り組めますので、どうぞよろしくお願いいたします。
松本眞昭さんとは初めての共演ですが、その幅広い音楽性に、これからの稽古をとても楽しみにしています。
そして台本構成・演出の加藤直さん。いまも八面六臂のご活躍です。オペラシアターこんにゃく座では、ヤナーチェクの「賢い女狐の物語」を加藤さんの台本・訳詩・演出でその翌月に予定しています。光さんも大好きだったヤナーチェクの作品なので、私もいまから期待しています。

 

 

■2022年10月24日のニュース (+11/04にトップページからの移行分を掲載)

 

10月23日、豊洲シビックセンターホールにて
「いま、うたたちの集い part.17」が無事終了しました。

 


写真/姫田蘭

 

集合写真のとき、あれ?真由ちゃんは?井口さんは?と探したのですが、時間がなくてパチリ!間に合わなくて残念でした!

 

ご来場いただいたみなさま、ありがとうございしました。
出演者の最高齢はなんと84歳!自分たちのことながら、凄いなあ。
以下、当日の写真を貼っておきます。
ステージ奥の背景。ブラインドをひくと、ガラスばりの向こうに夜のビル群、そして晴海大橋が。鏡となって客席が映り、それはそれはとてもきれいでした。そんな背景をも組み込んだ照明の望月さんのプランづくりに大感謝です。
写真のあとは、「当日パンフ」に載せた私のごあいさつ文です。

 

 

 

 

 

(写真/姫田蘭)

 

■ごあいさつ  竹田恵子

 

「歌の数だけ<ひと>がみえる」をテーマに、気づけばなんとPart.17です。
 コロナの第7波が終わりをみせないなかで、自宅稽古を主に抗原検査キットも利用しながらの、いつものバタバタ感です。
 振り返れば、よくこれまで続けてこれたなあ〜と我ながら驚いてしまいます。それもこのメンバーがあってこそです。私自身多くのものを受け取らせていただきました。
 「うた」ってなんだろう?と思います。
 ひとりひとりが固有の存在で、独特なんです。ここで言うのもなんですが、いつからか、年を取るのも悪くはないと思うようになりました(体力の衰えはいかんともし難いですが)。
 そしてご協力いただいているピアニストのみなさん、感謝しきりです。
演目はオペレッタ2本と重唱歌集。
「うた」は本来ひとりのものです。でも元をたどっていくと、そこには「共同性」があって、ひとりひとりが違うからこそ「共にある」喜びがあります。ひとが互いの存在を感じながら、違った声でコラボする。「うた」が共鳴し反響します。コンクールなどではしかめっ面をされそうですが、そんな楽しみもまた、感じていただければ嬉しいです。
そして今回のメインは、コミックオペレット「飢餓陣営」。こんにゃく座での本公演はありませんでしたが、若かりし頃NHKの番組で、花巻の北上川の鉄橋下、大石哲史さんと「飢餓陣営」を演じました。YouTubeで「飢餓陣営 こんにゃく座」で検索すると、5分強の動画が残っています。・・・・懐かしいなあ。
そんなことも感じながらの、うたたちの集いの「飢餓陣営」への挑戦です。

 

 

■2022年10月23日のニュース

 

*トップページを差し替えたので、これまでのものをこちらに転載しておきます。

 

「竹田恵子さんの歌♪を聴く(2)〜ドイツ歌曲(林光・訳)をうたう〜」コンサートを無事終えました!

 

■大田こども劇場主催のシリーズ「竹田恵子さんの歌♪を聴く(2)〜ドイツ歌曲(林光・訳)をうたう〜コンサートを9月16日に大田区民プラザ・小ホールで行いました。
当コンサートの「当日のプログラム」9/17付「最新ニュース」に掲載しています。

 


写真/中馬美和

 

 

■2022年9月24日のニュース

 

「こんにゃく体操とうたの会」企画・制作による                    「いま、うたたちの集い part.17」の恒例のご案内です。
今回は
■抒情幻想劇「ひのきとひなげし」
■重唱曲集
■コミックオペレット「飢餓陣営」
の3本立てです。

 

*お申し込み・お問い合わせは下記の[チラシ表]をご覧ください。

 

[チラシ表]

[チラシ裏]

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